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原発が核兵器になる時
2011/05/01(Sun)
福島は、広島、長崎の後を追うように世界の共通語になった。原子爆弾の被爆国である日本が、原発事故という新たな形の放射能の恐怖に襲われたのは、悲劇的な巡り合わせとしか言いようがない。

原子爆弾は、放射能に加え、高熱や爆風を放つため、その破壊力は、原発事故の比べものにならない。今回の福島原発の事故は、三発目の原爆が落されたようなもので、しかも日本人の手によってだ。

核の脅威は国外からだけでなく、国内にもあることが認識させられた。福島原発事故は日本にとって悲劇であったが、同時に世界の危機でもある。

原発事故から核兵器を連想する人々は世界中にいる。旧ソ連指導者だったゴルバチョフ氏が、チェルノブイリ原発事故で、核戦争の疑似体験をしたことから、核軍縮に突き動かされたことは、良く知られている。

最小の小型核弾頭でも、チェルノブイリ原発事故の三回分に相当する放射能があるため、蓄積した核弾頭のほんの一部の爆発でも破局につながるとして、核軍核競争を止める決意を示したのだ。

米国でも、今回の原発事故で、「原発テロ」への警戒心が強まったと言われている。理由は、使用済み核燃料プールで核燃料破損による放射能漏れがあったことから、テロリストがプールを破壊するだけで同じ危険に直面するためだ。「使用済み」という言葉と裏腹に、実は非常に危険であることが分かったからだ。

例え原発を堅牢にしたとしても、まだ太刀打ちできない。「サイバーテロ」にも警戒が必要であるためだ。原発の重要施設を制御するコンピュータに侵入して主電源や予備電源などを一気に停止させて、放射能放出をもたらす危険性が高まっているからだ。

国防の面からも、敵対国のミサイルで原発が次々と攻撃されたら、国中が大混乱になる。原発が放射能兵器になってしまう。原発事故は、原発攻撃の脅威をも印象づけた。イスラエルも、福島原発事故直後に、自国の原発建設計画を見直した。原発が敵対国の標的になるのを避けたからだ。

原子力利用が高まるほど、原発が事故や攻撃で核兵器になる不安も同時に高まる。これほど原発の危険性が高まっている状況にもかかわらず、平和や安心・安全を求めて原発に依存したい人々が多い。

原発は、クリーンで安全なエネルギーで、地球温暖化防止に役立つとして国策として進められてきたからだ。しかし原発を推進する側には、透明性が欠けており、安全神話にあぐらをかく傲慢さがあった。

旧自民党政権は、東電をはじめとする電力会社を景気対策の道具に使ってきた。
景気対策として電力会社に多額な設備投資を要求し、不要不急のハコものを造らせた。そういうことを繰り返してきたため、景気対策に協力する見返りとして、電力会社に対する政府の監督の目が甘くなっていった。

保安院・原子力安全委の両トップは、過去に「電源喪失、想定できぬ」と安全を言い続けてきた。東電は、電力会社なのに、電源喪失の失態を招き、原発の安全設計を真面目にやってこなかった。東電に危機管理能力のないことも露呈された。東電の危機管理能力が低くて対応が鈍いのは、複雑きわまりない原発の内部構造を熟知している人間が経営上層部にいないからでもある。

「想定外」で済まされないことが起きるのである。福島原発事故の教訓は、本当に重い。既得権益を守る政治は、もう要らない。国の官僚や電力会社にすべて任せるのではなく、一般国民も参加しボトムアップで議論を重ね、原発の安全を根本から考え直すべきである。

環境省は、風力発電で原発40基分の発電可能との試算を明らかにした。原発は、自然エネルギーや再生可能エネルギーに替えるまでのつなぎであって、将来的には脱原発を目指し、代替エネルギーの開発に大きく踏み込むべきである。

日本は、歴史の節目に来たことをしっかり考える必要がある。いつ核爆発が起こるかもしれない原発にいつまでも頼れないのだ。
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