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タイガーマスク運動の輪が広げる寄付社会
2011/01/30(Sun)
タイガーマスクの伊達直人を名乗る寄付運動が社会現象化している。

善意のタイガーマスク運動は、日本全国で盛り上がりを見せていることから、今年は、寄付が日本社会に広がる「寄付元年」になるとも言われている。

どうしてここまで広がったのか。人を助けたいという善意は日本社会に広く存在するが、ただ、人々の「内なる善意」を実行に移すきっかけがないだけだ。素顔を隠すタイガーマスク運動は、匿名の寄付で、善意の気持ちを表せることができる。

善意の気持ちを自然に表せる寄付文化を根付かせるには、寄付税制の充実化しかない。寄付すれば、税金を控除する寄付税制が必要だ。寄付を税金と対等の選択肢にすべきである。

社会には、役所と企業と、どちらからも独立した民間の非営利組織(NPO法人)という三つの組織がある。

子育て支援、介護、街づくり、引こもりや自殺対策などには、柔軟な対応や機動性が欠かせず、行政や企業では担えない領域が多い。この領域は、NPO法人が担っているが、資金不足で思うように活動できない。

経済危機、環境悪化、超高齢化に直面する日本社会には、社会に役立つ「益虫」を増やし育てることが必要であるのに、国の官僚らは、NPO法人を貧困ビジネスとみなし、害虫退治の発想しかなく、社会に役立つ「益虫」を育てる発想がない。

ようやく民主党政権の政治主導で、害虫を益虫に変える仕組みが実現した。従来、官が提供していた公共サービスをNPO法人などが担うという「新しい公共」だ。

政府税制改正大綱により、今年から公益性が高いと政府が認めた「認定NPO法人」に個人が寄付すると、所得税・住民税から寄付額の半分程度が控除される新制度が始まる。「認定NPO法人」へ支援すると、半額減税になる。NPO法人を寄付税制で支える仕組みだ。新たな制度改革が、寄付文化を加速する可能性がある。

天下りなどに無駄な税金を使われるより、税金の形ではなく、使途がはっきりしているところに寄付した方が、はるかに社会のためになる。

寄付税制改正により、大きな一歩が示されたが、これだけで寄付が増えるわけではない。寄付の受け手であるNPO法人の発信力も問われているからだ。

また人々が内なる善意を行動したくても、どこにすればいいのか、それを判断できる情報がないし、仕組みもない。寄付したものがどう使われるかわからないため、寄付したくない人々も多いはず。

寄付者の安心・安全を確保するためにも、政府主導で、NPO法人の情報開示がネットで閲覧できるように発信基盤を整備すべきである。不正防止には徹底したディスクロージャーの義務化が必要だ。

不景気風が身に染みる昨今でも、社会を良くしようと寄付が人気を集めている。15歳以上の3人に1人が寄付しているという。寄付手段も多様化している。

使途不明で昔ながらの街頭募金に代わって、募金ボタンのついた飲料自動販売機、寄付付き商品、財布を傷めずにできる「クリック募金」など、寄付者が援助先を選び、社会貢献の満足感が得られる新しい寄付が登場している。

気軽なプチ社会貢献が生活習慣として根付き始めている。失業者の増加で暗い話題ばかりの今、単なる金額以上に人々の心に明るさをもたらす効果がある。

当たり前に寄付できる社会的仕組みがあれば、素顔を隠すタイガーマスクはもう要らない。
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