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低所得層に富の再分配を
2010/07/17(Sat)
北欧の国デンマークは、高負担の税率で所得の7割以上取られても、高福祉が約束されているため、「自分は幸せだ」と思う人の比率が世界一である。

デンマークは、高税率と積極的な所得の再分配により、医療や年金、質の高い教育など充実した社会保障制度を維持している。経済力と社会福祉のバランスの取れた「持続可能な社会」になっている。

一方、「自力で生活できない人を国が助けてあげる必要はない」と思う人の比率が世界一なのが、日本である。高齢者が増加しているのに、社会保障費は毎年削られている。弱者や高齢者は見捨ててしまえばいいとする国なのである。
なぜこんなにも違うのか。

日本は、戦後50年続いた「成長フェーズ」が終わり、「成熟フェーズ」に入っている。米国の経営学者・社会学者であったピーター・ドラッカーは生前、「日本は危機的状況にあるのではなく、移行期にあるとし、日本は時代が変わったことを認め、その変化に対応する意識改革が必要である」と語った。

しかし「成熟フェーズ」における新しい国家ビジョンが示されていないことから、政策がダッチロール状態であり、国民は将来に対して見通しが立たず、不安ばかり増大している。

経済成長の大前提となる「労働」と「資本」、「技術」がダウントレンドにあるため、GDPの成長率はゼロに近く、経済衰退の要因になっている。労働力人口は少子高齢化で減少し、経済活動に投入される資本となる貯蓄率が低下して、さらに技術の指標となる労働生産性も、先進国の中で最低水準に停滞している。「成熟フェーズ」では、成長政策で公共事業を繰り出しても、無駄なコストを積み上げ、非効率を生むだけである。

成長の止まった成熟化社会では、全ての問題が吹き出すため、失業者や貧困者の割合がさらに増加していく。これまでの常識が通用しなくなる。

成熟化社会に必要なのは、成長戦略でなく、富の分配論である。失業者対策や貧困対策には、無理やりに所得効果のない仕事をつくるより、直接お金を渡した方が合理的である。間接給付でなく、直接給付が必要だ。

社会の閉塞状況から脱出して、国民全員が不安なく生活を送れるようにするためには、「医・食・住」の社会保障サービスをしっかり提供することである。道路やダムなどの産業インフラへの投資ではなく、「医・食・住」の社会的インフラへの投資が国民の満足度を高めるはず。つまり、政府が裕福層から税金を取り、低所得層に所得の移転を行う「所得の再分配」政策を展開することである。

成長分野である社会保障・福祉サービスを担う福祉医療産業を拡充させ、「土建国家」から「保健国家」へと産業構造のシフトを経済政策の主軸にすべきである。

日本経済が歪んでしまった最大の理由は、政府が増税をしてこなかった結果、社会保障の拡充を妨げてきたことにある。社会保障の原資となる恒常的な収入がないからである。恒常的な財源不足を国の借金である国債で賄ってきたから、毎年40兆円超の財政赤字が、積み上がるのである。

「成長フェーズ」では自然税収が続いていたが、成長が止まり長い停滞が続く成熟化社会では、国の予算を賄う税収が半分以下である。これでは社会保障を拡充しようにも限界である。思い切った増税が、財政構造を健全化し、歪んだ政策も健全化する。

日本の国民負担率41%は、先進国の中で米国(35%)に次いで低い水準である。
しかし増税を毛嫌いする米国や日本など国民負担率の低い国ほど、貧困層が増加し、デンマーク(71%)やスウェーデン(65%)など国民負担率が高い国ほど、高福祉の社会保障が約束されている。国民負担率をフランス(61%)やドイツ(52%)並みの負担と社会の仕組みにすれば、国民全ての「医・食・住」の社会保障が財政的に難しくなく可能であるという。

税金の流れを透明化するとともに、社会保障を「社会契約」にして、政府が国民に約束したことを見えるようにした北欧流のアイデアを利用すべきである。

崩壊しつつある社会保障を立て直し、再生していくには、増税による税制改革がどうしても避けられない。社会保障の追加コストとして、資産課税、相続税、消費税が増税候補となる。特に消費税は、安定した税収を見込める格好の財源であるが、逆進性の問題があり、複数税制や還付などの制度設計が必要である。

日本の国民負担率が低いのは、根底に政治や政府へ国民の不信があるからだ。政府による増税の試みは国民からのしっぺ返しの連続で、負担増を訴えることを避けてきた。増税から逃げてきた政治の怠慢により、日本経済が歪んでしまった。

今から消費税増税の議論を進めて5年以内に増税を行わないと、1000兆円を超える財政赤字となり、財政破綻の道に進んでいく。菅直人首相の「消費税10%」発言は、不用意で稚拙だった。準備不足と説明の丁寧さを欠いたこともあって、唐突と受け止められ、国民からの反発を招いた。参院選後に消費税増税の議論を始めれば良かったものを、今やまったくトーンダウンしてしまった。

しかしこれまで本気で考えてこなかった「富の再分配」の問題に政治と国民が向き合う必要がある。「成長戦略論」に頼るのではなく、財源をどう分担するのかを社会全体で「負担の思想」を深めるべきだ。いま目前の利にとらわれて大局を見失ったら、かえって国民の不幸につながる。

政治が国民の信頼を取り戻す必要がある。小沢前幹事長と鳩山前首相の「政治とカネ」の問題を清算し、特別会計の事業仕分け第三弾を通じて、天下り廃止と無駄遣いの削減を徹底的にやる。さらに国会議員定数の削減などを実施しないと、国民は消費税増税を受け入れてくれない。


参考になる書籍1冊

成熟日本への進路 「成長論」から「分配論」へ (ちくま新書)成熟日本への進路 「成長論」から「分配論」へ (ちくま新書)
(2010/06/09)
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