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ゲゼルと持続可能な経済 
2010/01/17(Sun)
地域社会の発展に貢献する地域通貨は、童話作家エンデの「エンデの遺言」がきっかけで、日本中に広まった。今では地域通貨のバリエーションが広がり、地域経済の活性化や介護福祉、様々な社会貢献活動などにはなくてはならない存在となっている。

地域通貨は、元々ドイツの経済学者シルビオ・ゲゼルが考え出した減価通貨(スタンプ貨幣)に基づくもので、1930年代の世界大恐慌時代にオーストリアのチロル地方都市ヴエルグルで実践された成功例から始まった。その経緯については、ゲゼルの経済理論に魅せられたエンデが、「エンデの遺言」で詳しく紹介している。

エンデだけでなく、ゲゼルの経済理論に賛同したケインズも「一般理論」の中で、マイナス金利論として紹介しており、「未来の社会はマルクスよりもゲゼルに多くを学ぶだろう」と書いている。ケインズの予言どおり、デフレ経済になると、常にゲゼルのマイナス金利論が議論され、今なお、世界各国の経済政策に影響を与えている。

ゲゼルのマイナス金利論によると、モノは時間が経てば古びて減価するが、お金(貨幣)は価値が減らないため、お金を保有しているだけで金利収入が得られ、人はよりお金を溜め込んでしまう。そこでお金を市場に流通させるためには、お金もモノと同様、時間とともに減価する仕組みとして保有する紙幣にスタンプ(印紙)を貼り付けないと使えないようにしたのが、ゲゼルのアイデアであった。つまり、金利の代わりに、お金に課税(印紙税)することで実質的にマイナス金利を実現した。マイナス金利はお金の流動性を高めて、景気を上向かせるには絶好の政策だった。

日本の成長率が低いデフレ経済では、ゼロ金利になっても金融政策は無策となり、民間部門に資金需要がないため、お金が市場に回らず、預金などの安全資産に集中する。消費せずに預金量が過大となるため、名目金利がゼロより下がらないという「デフレの罠」に陥ってしまう。日本経済は一度、この「デフレの罠」にかかって不況を深刻化させてしまい、「失われた10年」を経験したが、また再び、「失われた10年」に突入しようとしている。

モノの価値がマイナスになった時は、名目金利をマイナスにすることで、「デフレの罠」を回避できるとされている。そこでゲゼルの「印紙税」と同様、現金や預金などの安全資産に課税することで実質的にマイナス金利を実現させ、お金を流通させようとする政策が注目されている。

マイナス金利策は、言い換えるとストックに対する課税(資産課税)のことである。法人や個人が保有する預貯金に対して年率数パーセントの資産課税で金利がマイナスになれば、政府の利払い負担もなくなり、毎年財政赤字が減っていく。また資産課税による税収は数十兆円になり、政府の財政が大幅に改善し、財政再建ができるという。

実質マイナス金利を実現する策は、いくつか提案されている。究極のマイナス金利策は、貨幣に金利を設定することで、貨幣をすべて電子マネーにすれば、日銀がマイナスでもプラスでも自由に設定できるという。国民すべてが日銀に口座を持ち、使用しないと減価する電子マネーが、消費を活性化させるというわけだ。世界でも電子マネーが普及している日本にこそ、政府版の電子マネーが実現できれば、持続可能な経済社会が期待される。だが、貨幣を廃止して金利を自由に設定できる政府版電子マネーは、政治的抵抗が大きくて実現は不可能とされており、貨幣も簡単に廃止されるものではない。

しかし、ゼロ金利であってもお金が動かない日本経済は、デフレ長期化、深刻な少子高齢化、財政危機といった三つの大きなリスクを抱えている。現行通貨システムの改革を含め、経済成長と財政再建を同時に行わないかぎり、財政破綻まで自転車操業を続けることになる。マイナス金利策による資産課税が標準的な税制度になれば、日本でようやくゲゼルの着想が実現可能な時代が到来する。
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