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生物多様性の保全がビジネスを支える
2010/01/10(Sun)
人間の生活や経済活動は、生物や生態系、遺伝子資源などの「生物多様性」の恩恵によって支えられている。また水や食料、木材、気候の安定など、自然の恩恵となる「生態系サービス」は、人間生活にとって不可欠な社会インフラである。「生態系サービス」が劣化すれば、多くの経済活動に支障が出てくるため、生態系と経済活動には表裏一体の関係がある。

「生態系サービス」の保護は、すべての人と企業の課題になっている。「生態系サービス」の損失はビジネスリスクを招き、「生態系サービス」の保全はビジネスチャンスが生まれる。そのため、「生物多様性」を持続的に保全する仕組みが重要となっている。

「生物多様性」は、多様な遺伝子が存在することで、多様な生物種や生態系が作られている。人間の福祉に役立っている医薬品は、生物と関連性が高く、処方薬の6割ちかくが生物由来である。地球上の生物の半数以上が生息する熱帯雨林地域は、医薬品の原料となる植物や微生物の宝庫である。こうした熱帯雨林地域が破壊されれば、多くの生物種が絶滅してしまう。

生物多様性条約は、経済的側面から生物遺伝資源へのアクセスを促進しているため、生物資源探査が可能になっている。これは、特定の生態系を保有国が保全し、生物資源探査プロジェクトを組んだ製薬会社にその生態系の収集を独占させて、医薬品を開発させる仕組みになっている。製薬会社は、保全の代償として契約金を支払い、保全地域の中から医薬品の基になる生物資源を探索して医薬品開発に成功すれば、原産国に利益配分としてロイヤルティを支払う。この遺伝資源の利益配分をめぐっては、今年の名古屋で開催される生物多様性条約締約国会議COP10の主要テーマになっている。

このように生物多様性はビジネスに結びつけることで人間の福祉向上に役立っている。その一方で、企業が生物多様性の保全をビジネスに取り込んで行かないと、経営リスクをもたらすことがある。

例えば、次世代自動車として、電気自動車が注目されているが、リチウムイオン電池を動力とする電気自動車が世界の主流になれば、その原料となる炭酸リチウムをめぐって資源争奪戦が起きる。しかし、鉱山開発は生物多様性への影響が大きいだけに、鉱山会社や商社は大きな評判リスクを抱える。鉱物資源の争奪戦が起きる中、評判リスクは上流の採掘現場から下流の電池メーカーにまで及ぶ可能性もある。鉱山開発は広い土地を改変し廃棄物も多いため、生物多様性に与える影響は大きい。住民との付き合い方にも企業の評判リスクが潜むため、地元住民との十分な対話が必要となる。

鉱山開発には、「生物多様性リスク」を抱えるため、「生物多様性オフセット」が実施される。失われる「生物多様性」の価値を定量化し、別の場所で復元して相殺する取り組みである。鉱山の「生物多様性」に配慮して、鉱山廃棄物を貯留するダムを建設したり、パイプラインを地中に埋めて再植林したり、また固有種、野生動物や爬虫類、両生類などの個体を近隣の保護エリアに移植する環境対策を行っている。また鉱山開発では、閉山後に採掘地域を緑化して元に戻すのが一般的である。採掘直後から種子から苗木を育て、採掘直後から植林を始めている。

鉱山開発の例からも、「生物多様性」の保全と経済活動を両立させる仕組みを充実させることがいかに重要であるかがわかる。中でも注目される「生物多様性オフセット」は、「生物多様性」の保全と経済開発が両立するものだけに制約し、「生物多様性」を維持する仕組みであるため、今後、他のセクターにおいても導入拡大が予想されている。

しかし、「生物多様性」の保全活動には多大な資金が必要になる。特に途上国は資金不足のため、先進国からの資金援助に頼ることになる。そこで民間資金を動員させる資金メカニズムとして、「生物多様性クレジット(生態系サービスバンキング)」が導入された。

「生物多様性クレジット」は、「生物多様性」の価値を数値化し、仮想マネーとして扱い、流通しやすいように一種の証券化したものである。購入できるクレジットは、異質な生物生態系の間でなく、同質のものだけが対象であるため、保全はより確実性の高いものとなる。

開発する企業がマイナス影響を相殺するために、自ら保全事業を見つけ、管理するのは容易でないが、相殺する保全事業の効果を証券化したクレジットを購入することで、開発事業のマイナス影響を間接的に相殺することができる。さらに市場が出来れば、「生物多様性」を保全する側にとっても収入が見込めるため、安心して保全事業に取り組むことができる。クレジットは、開発する側と保全する側を橋渡して、効率的な投資を助ける「生物多様性」の保全手段になっている。

開発や外来種移入などが原因で、「生物多様性」の損失が止まらず、「生態系サービス」が劣化している。「生態系サービス」の劣化が企業活動に影響を及ぼすため、「生物多様性」への取り組みの失敗が企業に経営リスクをもたらす。そのため、「生態系サービス」は、企業活動などビジネスの分野でも注目され始めている。

企業は、社会的責任(CSR)に基づく取り組みに加えて、生態系サービス評価(ESR)を指標として用いることで、自社の事業活動が生態系や自然に与える影響を明らかにする必要がある。また「生態系サービス」に関するビジネスリスクとビジネスチャンスを管理するための戦略が企業に求められている。
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