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持続可能な農業に求められるものは
2009/11/06(Fri)
山の斜面や谷間の傾斜地を利用して階段状に造られた棚田は、日本の原風景である。山紫水明な山間地帯で作られる棚田米は、美味しい。水源近くのきれいな水で栽培するため、ミネラル分が豊富であること、そして昼夜の寒暖差により稲がゆっくりと熟し、ハサ架けの天日干しで自然乾燥することにより美味しい米が作られるという。

棚田は、減反政策や生産者の高齢化、人手不足のため、維持することが困難になっている。また狭い傾斜地であるため、大きな耕作機械が入らない棚田は、耕作放棄地になっているところが多い。しかし、棚田は多くの動植物が棲む生態系の宝庫であり、保水や洪水防止、水資源涵養、美しい景観などの多面的機能が再評価されている。こうした耕作放棄地に危機感を持ったNPO法人や都会住民、企業のCSR支援活動などにより、棚田を守ろうとする保全活動が盛んになっている。

耕作放棄地は、中山間農業地域だけでなく、平地農業地帯や都市的地域においても広がっている。全国で増え続ける耕作放棄地は、埼玉県の面積に匹敵する規模になるという。農地は、いったん耕作放棄されると、荒廃が進み、雑草の繁茂や病害虫の発生などで近隣耕作地へ悪影響を及ぼす。また耕作可能な農地へ復元するには、多大な投資と労力を必要とする。耕作放棄地の解消は、今すぐに取り組まなければならない緊急の課題となっている。

農家は農地を自分の資産と考えているため、耕作放棄して雑草地になっても、農地として相続税を免れる「偽装農家」が多く、機を見て開発業者に農地を売ってしまう。そのため、非営農目的の農地所有や農地の転用期待でさらに耕作放棄が蔓延している。また是正指導を行う農業委員会も看過していることから、農業委員会制度が形骸化している実態がある。

耕作放棄が広がる背景には、農業は採算に合わないなどの様々な要因がある。要因のひとつである減反政策は、高米価を維持し続けてきたことで、消費者の米離れに拍車をかけ、結果的に食料自給率を低下させている。また減反で麦などに転作しようとしても、転作に対する補助金がカットされ続けてきたため、転作は進まずに耕作放棄地がさらに増加してしまった。結局、農家は減反農地を放棄し、建設業などの兼業で家計を補う兼業農家が大量に発生した。専業化が進んでいる酪農や野菜農家などに比べて、米だけは小規模な兼業農家が8割を占めている。さらに米価格は長期低落傾向にあるため、そのリスクを感じる専業農家も農地拡大に踏み切れず、耕作放棄が広がっている。

減反政策で高米価を守るため、輸入米に対して高い関税を課している。高関税の代償としてミニマムアクセス米を拡大していることが、食料自給率をさらに低下させ、農業を衰退させている。しかも、ミニマムアクセス米は腐りやすい精米で、国内市場に出せないことから長期間保管している。だが、その保管料は巨額に上っており、そのうえ、カビの生えた汚染米の不正横流し事件が発覚している。補助金農政は、コストがさらにコストを呼ぶ仕組みになっており、消費者に負担を強いるものである。国内市場だけをみて、高い関税で日本の農業を守る農業政策は限界に来ている。主要作物の米を輸出商品として国際競争力をつけるためには、大規模化、農地の集約化、専業化などで生産力を高める農政が必要である。

農業問題は、農業界だけの問題でなく、消費者問題でもある。農政の立案を担って来たのは、農協・農水省・族議員による農政トライアングルであって、消費者が入っていない。消費者に対する情報公開が必要である。また政党にとって、水田は米を作るところではなく、選挙目当ての票田でしかなかった。既得権益を守るために、補助金のばらまきを行ってきたからである。

こうした悪循環を断ち切るためには、消費者の利益を考えた農政に転換すべきである。言い換えると、農業を政治のしがらみから解き放すには、消費者の目線を導入して国際競争力を高める農政が必要であるため、市民参加による新たな視点から持続可能な農業を開発するプログラムを構築することが重要である。

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