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暴走する反知性主義の日本社会
2014/03/07(Fri)
東京都知事選で、「東京を世界一」と主張する舛添要一を支持したのは、強い国にしてほしいという「オールジャパン」を求めるメンタリティーの表れであった。

それ以上に話題となったのは、懐古主義的な田母神俊雄を支持した若者たちが多かったことだ。従来の保守層より過激なネット保守で新たな政治クラスターとして注目された。

失われた20年の間で、「新しい社会」の具体的な姿を誰も示すことができなかったが、いま求められているのは、社会を変える変化ではなく、中国や韓国に対抗できる「オールジャパン」の強い国であった。

長年にわたる経済的な停滞と非正規社員にみられる労働環境の悪化、それに伴う人間関係の破綻、いつか人生を転落するのではないかとの恒常的な不安などが募っていたところに、東日本大震災と原発事故が起きた。

その巨大な喪失感は、何年たっても埋められず、心は不安定なままである。限界ギリギリで持ちこたえられることに疲れており、現実から目をそらし、無関心が広がっている一方で、国の安定を求める声が高まっている。

リベラル勢力も、具体的な処方箋が打ち出せないため、支持拡大とはならず、「右向け右」の強権的な安倍政権を支えているのも、国の安定を渇望するメンタリティーの表れであろう。

だが、参院選で圧勝した安倍政権は、パワーエリート化し、反知性主義に陥っている。いつからか選挙に勝った人間がやりたようにやるのが政治だ、といわんばかりである。

麻生財務相の「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」発言も、反知性主義の表れである。国際社会からの批判も過小評価し、自分たちがどのように見えているのか、わからなくなっている。

反知性主義の政治エリートは、自らの行動や発言が、国益と国民の利益をどれほど毀損しているか、現実が見えていない。

歴史的事実に目をつぶる反知性主義の安倍首相に対して、米国政府や米メディアは「戦後レジーム」を否定する復古的な信条の持ち主であると、批判的である。

客観性を軽んじ、自分が理解したいように世界を理解し、自分に都合のよい物語だけを他者に強要する。自分の思っていることが、事実と考え、他人の意見など聞かない態度である。

反知性主義は、「気合いを入れて問題を解決する」という決断主義に結びつきやすく、戦前の軍部が決断主義で日米戦争に突入したのが、その例である。

「汚染水の影響は、港湾内で完全にブロックされている」、「東京は福島から250キロ離れているから安全」と世界中に向けて発信された反知性主義は、この国の欺瞞と思考停止であり、幼児化している。東京五輪開催で浮かれていると、日本社会のシステムは、ますます劣化し、崩壊する。

特定秘密保護法を強引に成立させた安倍首相は、正式な手続きによる憲法改正がだめなら、数の力でゴリ押ししようと、憲法解釈変更による集団的自衛権行使の容認、教育に対する権力的介入の強化と、日本国憲法の価値観と明らかに矛盾する法制度改革や施策で、憲法を骨抜きにしようとしている。それは憲法の積み重ねられた叡智を無視する点で「反立憲主義」 であり、「反知性主義」 である。
   
なぜ、反知性主義が強く現れてきたのか。大衆社会化が進み、大衆の感情を煽るポピュリズムの政治が広がってきたためである。 

政治に限らず、「勝たなきゃ終わり」という価値観が幅を利かせており、多様な価値観を抑圧している。

「従軍慰安婦は、どこの国でもあったことですよ」、「政府が右ということを、左というわけにはいかない」と政治的問題発言をした籾井NHK会長、「女は子を産み育てるのが務め」と発言した長谷川三千子NHK経営委員、「東京裁判は(米軍の東京大空襲、原爆投下などの)大虐殺をごまかすための裁判だった」と言う百田尚樹NHK経営委員などの反知性主義で、混乱が収まらず、深刻な状況だ。このままでは、日を追うごとに公共放送への信頼が失墜し、非常に危険な実害を日本社会に及ぼしつつある。

同調圧力の強い日本では、自分の頭でものを考える訓練が積まれていない。敵か味方か、勝ちか負けか、の二分法の世界観が幅を利かしている。「世界の豊かさ」や「人間の複雑さ」こそが、多様な価値観を生み出し、思考を成熟させ、社会を変える原動力になっているのに、国家主義的な言動による二分法の世界観はその多様性を抑圧するだけである。

反知性主義という悪しき傾向は、日本の学校現場でも、横行している。知識を身につけ論理的な思考をするより、他者の顔色を見てうまく合わせるコミュニケーション能力のほうが重要という誤ったメッセージが学生の間で、広がっており、反知性主義の世界になっている。

知的レベルが低下してもプライドだけは高い日本は、反知性主義の国そのものだ。

幼児化する日本社会―拝金主義と反知性主義幼児化する日本社会―拝金主義と反知性主義
(2007/07/06)
榊原 英資

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STAP細胞は、ES細胞だった
2014/03/26(Wed)
世間を騒がせたSTAP細胞は、やはりES細胞であった。

小保方氏のSTAP細胞の論文発表直後から、STAP細胞はES細胞ではないのかの疑惑が、少なくなかった。従来から、動物の体細胞が外的刺激で万能細胞になることはありえないとされており、生命科学の常識を覆す発見のため、その実験事実が当初から疑われていた。

増殖機能を持つSTAP幹細胞2株を遺伝子解析した結果、共同研究者の若山教授がSTAP細胞の作製目的に手渡した129系統マウスではなく、万能細胞であるES細胞の作製によく使用されるB6とF1の系統マウスであることが判明し、論文とは異なる別種のマウスに由来するからだ。

単純な取り違いミスと片付けられない重大な捏造で、すり替えたとすれば、言い逃れはできず、さらに大騒動になりそうだ。

論文では、分化細胞であるマウス脾臓のリンパ球を、酸性処理など細胞外環境を変えて、分化細胞が初期化したかを確認するため、未分化細胞で特異的に発現するOct4遺伝子の挙動を観察した結果、未分化状態のOct4陽性細胞であるSTAP細胞が作製できたとは発表した。しかもこのOct4陽性細胞は、分化細胞から初期化された証拠として、リンパ球T細胞が分化した時に生じる特徴的な遺伝子再構成であるTCR再構成が検出されたという。

だが、このTCR再構成を示すはずであった電気泳動の画像データに切り貼り加工あるなどの疑義が生じていた。3月に理研から、8クローンで試したSTAP幹細胞にはTCR再構成が認められなかったことが公表され、画像データの加工があったことを認めると、STAP細胞とSTAP幹細胞はできなかったのではないかの疑念がさらに深まった。

STAP幹細胞にTCR再構成が検出できないのだから、STAP細胞は、存在せず、捏造そのものである。素人にも絶対にバレるような嘘をつくのは、なぜかわからない。これは捏造事件である。

国民の税金でまかなわれている理研は、研究管理体制が甘くて税金の無駄使いがひどく、霞が関官僚OBという典型的な天下り法人の体質そのものである。

巨額なハコモノと多大な電気代と人件費がセットで、公金を使った文科省OBの天下り先の民間企業を“丸抱え”している問題もある。STAP細胞の捏造事件が起きたのも、こうした体質と無関係であるとは言えまい。

理研に事業仕分けが必要であったのは、民主党政権時に既に明らかにされているはずだ。
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