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派遣法改正案は抜け穴だらけ
2010/05/05(Wed)
この国は、まともに派遣労働をつくる気はないらしい。

市場経済のグローバル化で企業が生産拠点を海外に移した結果、正社員であった層の3分の1が、不安定な非正規雇用の派遣労働者に置き換わってしまった。

経済変動の激化に派遣労働が必要であるなら、あおりを受ける派遣労働者を支えるサーフティネットが不可欠だが、国は、派遣労働者が納得できる「均等待遇」や「派遣先の責任強化」を整えようとしない。「均等待遇」も団体交渉も認められない働き手を放置すれば、賃金は上がらず、デフレ克服につながらない。

国会で審議中の労働者派遣法改正案に対して修正を求める動きが相次いでいる。改正案の問題点は、「派遣労働の原則禁止」としながら、例外規定が多すぎて、企業側に都合のよい抜け穴だらけになっているからだ。派遣先の派遣元への責任転嫁も改善されないままである。派遣労働者保護の欠如から骨抜きの法案となってしまい、いったい何のための改正なのだろうか。

仕事があるときだけ雇用契約を結ぶ登録型派遣は、専門的の高い「26業務」を、製造業派遣は長期の雇用契約を結ぶ「常時雇用」を例外にしたことから、ほとんどの派遣が従来通り認められてしまう懸念が出てきた。

改正案の目玉である、違法派遣があれば、派遣先が直接雇用を申し込んだとみなす「直接雇用みなし制度」にも不安がある。「みなし制度」の問題点は、派遣社員のときの労働条件と同じでいいとされ、短期契約や低賃金が改善されないことである。また派遣先が違法行為と知らず、知らなかったことに過失がなければ、「みなし制度」の対象にならない条項になっている。これでは、従来と変わらず、派遣労働者が声を上げても救われない。

改正案の骨組みを話し合う労働政策審議会の公益委員は、政権交代前と変わらず、労働側委員に派遣労働者の代表はゼロ。労働者保護に値する抜本的改正には程遠く、派遣労働者の声が反映されていない。

派遣法は、派遣先企業が派遣社員を「事前面接」で選別することを目的とした行為を禁止している。改正案では、自民党前政権の改正案をベースにして、「派遣先の事前面接の解禁」を進めていた。この条項は、派遣労働者から「容姿や年齢差別、性差別の温床」と批判されると、削除されたが、委員たちは、「労使合意の尊重に反する」と抗議したという。

多くの正社員がリストラされて派遣労働者になっている厳しい現実があるにもかかわらず、正社員代表である連合は、賃上げのことしか考えていない。本気になって、労使交渉の場で、経営者側に強く派遣労働者の「均等待遇」を訴えるべき立場なのに、派遣労働者の声を反映させず、派遣改正案の成立を急いでいる。

また派遣法改正で、「事前面接」を経団連と合意事項にした連合は、 派遣労働者の利益を代表しているとは思えない。大企業の労組や公務員労組が集まった連合では、まともな派遣労働はつくれない。

まして組織率が20%に届いていない労働貴族の連合が、労働者の代表として政府にもの申したり、財界と協調したりすることは、日本の労働者にとって不幸である。民主党政権は、支持母体である連合だけを労働者の代表として扱っているが、中小企業労組である全労連や全労協の声も労働行政に反映させるべきである。

ストをしない労組は、欧米ではあり得ない。 欧米の労組に比べて企業に協力的な連合が労働運動をまったくしないため、日本の労働者は浮かばれない。労働条件の悪化に抵抗するべき労働組合が無力になっている。 

企業別労働組合は、正社員の減少に抵抗できず、組合員数を減らし続けている。終身雇用が崩れている以上、労組は、弊害ばかりの企業別労働組合ではなく、欧米のように、労働条件の基本が社会的横断的に決まる産業別労働組合に改組すべきである。

いくら派遣制度をいじっても実態に即した対応がなされなければ、真の労働者保護につながらない。改正案は構造的な問題に切り込もうとしていない。形だけ整えても、何の意味もない。

国のやるべきことは、派遣制度の見直しばかりではなく、不安定な雇用制度で困っている派遣労働者にセーフティネットの充実を図ることではないのか。

非正社員も正社員と同様に、「同一価値労働・同一賃金」による賃金方式が欧州で広まっている。そうした方式を日本社会で実現させていくためには、どうしたらいいのか熟議が必要である。

国は、派遣労働者が望む「均等待遇」を進めるためにも、当事者の声を国会に反映させるべきである。
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選挙至上主義の政治で国は機能不全
2010/05/11(Tue)
八方美人の言動が多く、稚拙なやり方ばかりで迷走する鳩山首相は、普天間問題の5月末決着が絶望的になったことから、風前の灯である。

直面する問題に対して何ら戦略も見通しもないのに、口先だけの綺麗事ばかりで無責任な「お坊ちゃん政治」に国を任せたのは、大きな失敗だった。

歴史的な政権交代で颯爽と登場した鳩山内閣は、わずか半年余りで支持率は急落し、求心力は低下した。支持率続落の要因は、はっきりしている。鳩山首相と小沢幹事長の「政治とカネの問題」が大きく、普天間問題をうまく乗り越えられない首相の非力さに国民は失望した。政治が変わると期待したのに、幻滅ばかりで、停滞する政治・社会状況に国民はウンザリしている。

政権交代後、民主党はひどい政党に変質してしまった。「選挙至上主義」から、有権者受けする政策に走っている。夏の参院選に勝利することを優先するあまり、政策の優先順位付けを誤り、有権者の歓心を買うポピュリズム的な政策に傾斜している。

民主党のトップに君臨する小沢幹事長は、田中角栄流の政治主導である古い自民党体質を最も持ち合わせる政治家で、明確な政治理念がない。選挙に勝つことを至上の目的としている「選挙至上主義者」の小沢幹事長が諸悪の根源となっている。

小沢幹事長と茶坊主の側近によって、露骨な側近政治と強権政治で日本の政治は支配されている。小沢独裁下で大多数の民主党議員は、自ら考え、自らの信念で行動することをやめてしまい、奴隷のごとき存在である。大政翼賛会的になっており、物言えば唇寒しである。

参院選に現職の衆院議員をくら替え出馬させるなど、総選挙に付託した有権者を軽んじる態度である。民意を軽視する「選挙至上主義」は、ある意味で民主主義の破壊である。

民主党のバラマキ政策である子ども手当や、農家への戸別所得補償制度、高速道路無料化などは、巨額の財源が必要なのに、「選挙に不利」との思惑から、消費税率引き上げ論議は封印したままである。民主党は、財源の裏付けのない「マニフェスト」で民意を買えると思い込んでおり、「総花主義」に陥って混乱している。

選挙向けの政策ばかり追求していると、基本政策をきちんと練ることができず、ますます日本は厳しい事態に追い込まれていく。だからマニフェストも小手先で作ることになる。「選挙至上主義」の政党政治のため、選挙のたびに財政赤字が増大し、財政は破綻の瀬戸際にある。選挙向けの政治は、もう限界だ。

民主、自民の二大政党ともに、政権獲得が自己目的化している。選挙に勝つことばかりで、誰も理想や国家ビジョンを示さない。選挙に勝つためなら何でもするという姿勢は、有権者の政党政治への幻滅を招く。政治が場当たり的になってしまった。甘い話をして結果的に国民にウソをつくのは好ましくない。

議会制民主主義における政党の役割は、政党政治をベースにして意見を集約する機能であるはずだが、その集約機能が失われている。政党政治も政治家の質も劣化するばかりで、現実の対応力が身についていない。

利益と投票を交換する「選挙至上主義」、「マニフェスト至上主義」、「利益誘導戦術」の政治から脱却すべきである。選挙だけで、政治に民意を反映させることは出来ない。マニフェストや予算をつくる際、政治に有権者を参加させて、広く国民の意思を吸い上げる仕組みが必要である。「熟議民主主義」に基づいて政策の優先順位を決断することが国民の信頼につながる。

政治は社会を映す鏡である。政治の劣化は、社会の劣化でもある。日本の政治家には危機感が足らない。劣化した政治を是正するのは、「小鳩」コンビとも辞任するしか方策はない。
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医師不足、看護師不足の医療崩壊
2010/05/16(Sun)
海外では診療ができる看護師資格の導入が広がっている。医師不足による医療崩壊の日本でも、厚労省が、高度な医療行為ができる新資格「特定看護師(仮称)」の導入を検討しており、モデル事業での検証がスタートする。

医療崩壊を食い止めるには、医師不足の解消に取り組まない限り、危機は克服できない。日本の医療現場は、「医師でなくてもできることを医師が行っているから医師不足に陥っている」という実態が指摘されている。

また医師の絶対不足からくる医師(特に病院勤務医)の過重労働が常態化している。過酷な労働条件を嫌って病院を辞める医師は、後を絶たない。新研修医制度で新人医師が研修病院を自由に選択できるようになり、地方病院の医師不足が深刻になったからだ。

医師の過重労働解消のためにも、「特定看護師」など人材を集める政策が必要で、一定の条件下とはいえ、医師業務の一部を肩代わりできる特定看護師の導入は画期的である。深刻な医師不足や病院の診療科の休廃止が相次ぐ地方では、とりわけ期待が大きい。

米国では40年以上前に診療看護師(ナース・プラクティショナー)制度が導入されており、診療看護師の仕事ぶりは、「病床の記載の緻密さ」や「処置の丁寧さ」「患者への指導のきめ細かさ」などから、医師よりも優れている面が明らかにされている。また一足早く医師の指示なしで診断や治療をする「診療看護師」が定着しており、小児科や産科の診療所で活躍しているという。

さらには診療看護師や栄養士が生活指導を行い、糖尿病、高脂血症、高血圧、肥満など生活習慣病を減少させ、医療費の削減が可能になっている。薬物投与のみでは、治癒効果に限界があることが示されている。

今や医療と看護や介護の領域は重なり合っており、全体としてのチーム医療が重要になっている。臨床医療は、もはや医師のみの診療領域ではない。医業の高度化、専門化が進んでいる今日、医師がすべての業務に通じて、対応することはできない。また高齢化が進んで生活習慣病などが主流になった今の時代に対応できていない、との指摘がある。医師不足が深刻な現場からは、医師と看護師らが協力する中で、看護師らの役割が広がることへの期待が高い。

むしろ看護師は医師より患者に目線が近く、患者をよく見て判断できる。実際に、経験を積んだ看護師は経験の浅い医師より医療に精通している場合も多い。医療に精通した看護師を養成して医師の診療行為の一部を担っていくことは、多忙を極める医師にとっても、より専門性の高い医療に専念できる利点がある。

なぜ、いま特定看護師の導入なのか。背景には、医療の高度化に伴って、医療現場においてどこまでが医師の業務なのか、どこまでが看護師の業務なのかについて明確になっていない「グレーゾーン」の業務が急速に広がっている現実がある。現行の法律では、医師法により、医療行為は医師しかできず、看護師ができるのは「療養上の世話や医師の指示下でする診療の補助」と保健師助産師看護師法(保助看法)で定めている。

厚労省は保助看法の改正も視野に入れている。しかし特定看護師の導入については、開業医中心の日本医師会が「特定看護師の奪い合いになり、チーム医療を行う地域医療が大混乱する」などと強く反発している。日本医師会は、救命救急士制度の導入にも最後まで反対し続けていた経緯があったが、医師の領域が侵されかねないという懸念が強いようだ。

現場の実情に即して医師、看護師、医療事務の業務分担を見直し、医療の質の向上につながるように、各自でレベルアップを図ることが必要でないのか。

そもそも医師不足になった背景には、自民党政権下での医療費抑制策と医師養成抑制策で、大学の医学部定員を削減してきたことにある。医師抑制策による医師不足は、地域医療の格差や診療科格差(特に小児科、産婦人科の不足)を招く結果となった。これを解消するには、医師抑制策が取られる以前の元の定員に戻すことである。そうすれば新たに医学部を新設する必要がなくなる。

他方で、医師の過重労働だけでなく、看護師の過労死も問題になっている。

看護師は、少子高齢化の影響で大幅な供給不足になっており、今後とも看護師不足は深刻化していく。また看護師の多くは女性で、結婚、出産・育児が離職の大きな理由になっている。

看護師資格を持っているけれど、出産や育児などで職場を離れた「潜在看護師」の数は約55万人にも上っている。「潜在看護師」が看護師としての仕事に復帰してくれれば、供給不足も緩和することになる。そのためには、「潜在看護師」の復帰支援や、再就職支援が必要である。また結婚しても安心して働きつづけられるよう、院内保育所の確保や産前産後の休暇、育児休暇などが十分にとれるよう代替要員の確保など体制を整えることが必要である。

さらには看護師の職業の幅を広げ、男性も看護師になりやすい状況を作って行くことも、必要ではないだろうか。
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運用がデタラメな郵貯マネー
2010/05/21(Fri)
日本の郵政改革法案に米国と欧州が猛烈な勢いで抗議している。

郵便貯金の預入限度額の引き上げなどを実施すれば、民間との競争条件が不公平になることから、米通商代表部(USTR)がWTO(世界貿易機関)協定違反として日本政府への圧力を強めている。新たな通商摩擦に発展する可能性が出てきた。

USTR側は納得せず、日本の外務省を通じて「揺さぶり」をかけ、条約局長や経済局長を含む財務・外務の官僚が、米大使館員と共に押し掛けてきたことから、亀井郵政・金融大臣は、脅しの片棒担ぐなんて許せないと外務省の対米追従を批判し、内情を暴露してしまった。

亀井氏は、政権交代以前から、郵貯マネーで米国債を大量購入して財政赤字で困っているオバマ政権の財政面を支えたいと主張していた。だが、ゆうちょ銀行の預入限度額の引き上げにより集まった資金で、米国にカネを貸そうと言っているのに、何で米国が郵政改革に文句をつけてきたことに対して怒り心頭であったようだ。

今回の郵政改革案に盛り込まれた政府の日本郵政への出資割合「3分の1」と、預入限度額「2千万円」は、参院選での50万近い郵政票狙いと言われている。

しかし鳩山内閣が進める郵政改革は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の預金限度額を2倍に引き上げる金融肥大化路線である。

そこに大きな問題がある。ゆうちょ銀行は、お金を集める力は強いが、企業の将来性を見極めて融資するノウハウがないため、規模が膨らめば国債を買うしかない。国債購入が増えると、産業への融資が不足して日本の金融全体を歪めてしまう。

こうした批判をかわすため、閣僚らは国債以外の運用構想に熱心である。

亀井氏以外に、原口総務相はじめ他の閣僚からも、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の資金の約10兆円について新興国のインフラなど海外事業など国内外の公共投資などに充てようとする発言が出ている。海外のインフラ投資に回すのは、高速道路や水道整備、新幹線、原子力発電所の輸出支援などだ。日本版の政府系ファンドに民間資金を動員させて政策に運用させたい思惑がある。

だがそうした案は、かつての財政投融資の復活ではないか。郵貯マネーが特殊法人に流れ、無駄な事業の温床にした財政投融資と同じである。財政投融資はずさんな運用ばかりで、不良債権の山ができるだけだ。

日本郵政グループは、金融部門のゆうちょ銀行とかんぽ生命が保有する約230兆円の国債の運用益に支えられている。 日本郵政が発表した2010年度3月期決算は、純利益が4500億円で、他の大企業と比べても、NTTと肩も並べ、みずほフィナンシャルグループの2倍近い。

しかしデフレを脱却したときに、インフレ期待で長期金利が1%上昇するだけで、国債の評価額として16兆円の損失が発生し、巨額赤字に陥るシナリオが待っている。

そうなると、ゆうちょ銀行救済のため、巨額の税金投入を迫られる。結局は、郵政改革案は、国民負担を膨らませる政策である。たまらないのは、ゆがんだ金融システムを背負っていくことになる次世代の子どもたちである。全国郵便局長会(全特)の念願である郵政改革法案は、票目当ての材料にされている。票だけもらって子どもに負担させる政策である。

財政は巨額赤字で、金融危機への対応力はない。目指すべきものは、ゆうちょ銀行の肥大化でなく、スリム化でないのか。

鳩山内閣は財源論がないまま、子ども手当や農家戸別所得保障などのバラマキ政策ばかり発信する。その財源となる国債を調達するために、郵貯限度額などを引き上げて民間から資金を吸い上げようとしている。このままでは日本経済に深刻な影響を与えるだけである。
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6度目の大量絶滅時代に突入した地球
2010/05/26(Wed)
授粉に欠かせないミツバチが狙われている。

農家のハウスから授粉用に使うハチの養蜂箱が盗難されたり、巣箱からハチだけ盗まれたりして昨年度だけで200万匹以上がさらわれたという。

その背景には、深刻なハチ不足がある。ハウス栽培で受粉作業を担うハチは、繁殖力などに優れたセイヨウミツバチが主流。輸入の約8割を担うオーストラリア産ミツバチに伝染病「ノゼマ病」が確認され、また世界的な原因不明の大量死も重なり、供給不足でハチの価格が高騰したためだ。

スイカやリンゴ、イチゴ、ナスなど食卓に上る多くの食べ物の栽培には、ハチのような授粉を媒介する生き物が大きな役割を果たしている。

生き物が自然を創り出し、我々の生活は、生き物なしで成り立たない。地球上には、約3千万種(推定)の生き物がいて、お互いの微妙なバランスを保っている。この豊かさが生物多様性と呼ばれている。

生物多様性による様々な恵みは生態系サービスと呼ばれ、年間で5000兆円になるという。森林は、家をつくる木材を提供し、CO2を吸収し、酸素をつくり、山の土砂崩れを防いでくれる。干潟は、海をきれいにするし、渡り鳥の生息地になる。サンゴ礁は、魚の住処になるだけなく、津波の被害を防いでくれる。里地里山は、米や野菜、果物が実る。

自然の知恵に学ぶ技術も多い。カワセミのくちばしは、騒音を軽減する新幹線「500系」の先頭車両に、トンボの羽は、微風でも回転する風力発電用のプロペラに、静かに飛ぶフクロウは、風切り音を減らすパンダグラフに、応用されている。生き物は、理にかなっており、宝の山である。生き物の形や機能を工学に反映させる手法をバイオミミクリー(生物模倣)と呼ばれ、最先端の研究になっている。

また動物界の種数の75%を占める昆虫は、生物多様性を象徴する存在である。昆虫は体を小さく進化させることでニッチな環境に適応し、変態というライフスタイルを編み出したことで地中、陸上、空中へと環境の変化に適応している。モンシロチョウのサナギから抗がん物質が、カメムシの一種である吸血昆虫の唾液から脳梗塞や心筋梗塞の抗血栓物質が、カブトムシから抗感染症の物質などが発見されており、昆虫が生産する物質の機能性や薬効性の研究開発は「インセクトテクノロジー」と呼ばれ、世界中の産業界から熱い注目を集めている。

しかし生物多様性は豊かだが、危機に瀕している地域である「生物多様性ホットスポット」が世界各地で増えている。

里地里山は、雑木林、水田、畑地、小川といった身近な自然があるばかりでなく、多くの野生生物が生息・生育する生物多様性を保全する上で重要な役割を担っている。だが農山村は高齢化、過疎化で管理放棄、都市近郊は開発による土地利用転換が進み、里地里山は絶滅の加速が進む「ホットスポット」になっている。里地里山を維持していくためには、人による自然への働きかけを継続することが必要である。

国内だけの問題ではない。日本は木材や食料を多く輸入するため、海外の生態系にも甚大な影響を与えている。生物資源が豊なフィリピンなどは、原生林を切って木材を輸出した結果、森林が消失し、地下水は枯渇し、干ばつや洪水、土砂崩れ、山火事が頻発している。生物資源が豊な地域が、今や破壊の地域になっている。生物多様性が失われると、貧困を助長し、さらに生物多様性を破壊するという悪循環に陥っている。

里地里山的なランドスケープによってもたらされる多様な生態系サービスは、食糧安全保障、貧困、エネルギー問題、気候変動問題などを解決する糸口にもなっている。生物多様性を損失することなく、人と生態系の相互作用を通じて生態系サービスを最大化することが重要な課題である。

そのため、生物多様性の保全の観点から、里山的ランドスケープ管理の重要性が認識されている。里地里山に見られる自然資源の持続的な管理利用は、自然共生社会のモデルとなりうることから、環境省をはじめ、国際的に世界各地の自然共生社会の実現に活かしていく取組としての「SATOYAMAイニシアティブ」が推進されている。

地球には、過去5回の大量絶滅の時期があった。開発や動植物の乱獲、里山などの手入れ不足、外来種による在来種の生息危機、地球温暖化などによる現在の危機は、恐竜が絶滅した時に続く6度目の大量絶滅期と言われている。地球の歴史上で最も速いとされる今回の大量絶滅は、間違いなく人間が引き起こしたものだ。

人間は、世界中で開発を進め、原油から海の魚までありとあらゆる資源を好き勝手に乱獲している。しかし人間の暮らしが、生き物によって支えられていることを先ず理解すべきである。
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岡田ジャパン、生き生きとプレーしろ
2010/05/30(Sun)
W杯日本代表の1次リーグ予選突破は、極めて厳しいため、サポーターの注目度も低い。

ベスト4を目標とする岡田ジャパンは、韓国に今年、2回も完敗して攻撃が機能不全に陥っている。チームの弱点であるカウンター対策のあまり、持ち前のパス回しが消え、連係プレーがバラバラでゴール前に向かっておらず、W杯直前になっても組織として機能していない。戦術すら理解していない選手も見られる。

岡田監督は、コンタクトを避けて素早くパスし、ゴールを目指すというが、突破力のある選手はなく、前に動いていない。選手一人ひとりが、ゴールを目指し、速やかに立て直す精神的なタフさが欠けている。

岡田ジャパンは、最近の不振続きで迷走している。戦術面では単調な無駄走りが多いため、後半にスタミナ切れ、そして失点に繋がってしまっている。自分たちの運動量を増やして相手を上回ろうと、ハエのように執拗に頑張るだけでは限界がある。非効率で相手の裏を掻く駆け引きがない。

高地のW杯となる南アフリカは、空気の低酸素環境で体に負荷がかかるため、90分間をフルに走れる選手が走りきれなくなる。運動量が生命線の日本代表にとって過酷な環境である。

パス回しは良いが、ワンタッチを多用し、縦パスやスルーパスによる縦への素早い攻撃も大事だ。無理に中盤でボールを回しても速いプレスに潰されてしまう。プレスされる前に、サイドを走らせるロングボールや、サイドからの仕掛けなど、多彩な攻撃のバリエーションが必要だが、前線に放り込んでボールが収まる選手がいないため、攻めきれていない。

またゴール前20メートルまでのパス回しは素晴らしくても、シュートを放って枠を外すことが多く、相手チームに脅威を与えない。ゴールが近くなるほど集中力が必要であるのに、ゴール前で一瞬に見せる勝負強さがない。ゴール前で仕掛けられず、バックパスばかり目立つ。突破を仕掛ける選手、その選手に動きを察してパスを出せる技術の選手がいないと打開できない。

岡田ジャパンは、こうした決定力がないため、ショートパスをつなぐスタイルで90分戦うのは、無理であり、守って、守ってカウンターアタックで得点を取るしかない。そのためにも、味方の選手が押し上げるまで前線でボールをキープできるワントップが重要で、ゴール前で勝負できるようにもっていくことが大事だ。

日本の選手はふかしても、オランダの分厚い攻撃陣の中心FWロッベンやMFスナイデルは、卓越したシュートを決める。ロッペンは足一本でのドリブルで、スピードを緩めない直線的な仕掛けができる。岡田監督がロッベンは大変な選手と危機感を持っているほど、超高速のドリブル&カウンターによる破壊力がすごい。切れ味鋭いドリブルと正確なクロスがロッベンの特徴だ。絶好調のロッベンを誰も1人では止められない。布陣をコンパクトに保ってスペースを作らせないことが必要だ。

スナイデルはうまさと力強さがある。トップ下から前線へ決定的なパスを供給するだけでなく、一瞬の隙を逃さず強烈なシュートを放つ。デフェンスを完全に崩さなくても、シュートを的確に決めてしまう。

デンマークは欧州予選でポルトガル、スウェーデンの強豪国を押しのけて1位になった堅守が売り。またベントナーら前線を生かした素早いサイド攻撃の威力もある。結構タフなチームだ。

初戦の相手カルメルーンは精彩を欠くが、インテル・ミラノで欧州クラブ王者になったFWエトーが復調してきた。すべての問題を吹き飛ばす一撃の威力がある。

岡田ジャパンは、運動量で頑張るだけでは限界があるため、理にかなった戦術に徹底したほうが良い。そして自分の判断でリスクを負って、生き生きと攻める姿勢がほしい。W杯でベンチに助けを求めるような姿は願い下げだ。

今回のW杯は、世界最高の選手に称えられるアルゼンチン代表選手「メッシの大会」と言われている。マラドーナ二世と呼ばれるメッシの高速ドリブルは、0.2秒で2回もボールにタッチできるダブルタッチのため、ボールが体に密着している。

メッシは幼い頃、成長ホルモンの分泌異常で成長が遅れる病気で、小柄なハンディキャップを克服するため、ドリブルを磨きかけた。「難病の子どもたちの役に立ちたい」との思いは人一倍である。メッシのブログは、最初、日本語版から始めたほど、日本のファンを大事にしている。個人的にも、メッシの黄金の足で活躍するところを見てみたい。
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