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民主党政権による持続可能な政策とは....
2009/09/02(Wed)
8月30日の総選挙は、事前の世論調査どおり300議席超の民主党が圧勝し、自民党の歴史的大敗で終わった。前回の郵政民営化選挙の結果をそのままひっくり返したオセロゲームのような展開であった。小選挙区制で過去最高の投票率であったことからも、社会の閉塞感や将来の不安に対する国民の怒りが非常に高かった。

前回の選挙で自公政権に圧倒的な力を与えたにもかかわらず、政権政党の無策ぶりが目立ち、幻滅と悔恨を感じた有権者が自公政権に見切りを付けたため、政権交代が実現した。また有権者が民主党政権を望んでいたというより、小泉構造改革に不信・不満を持った自民党支持者の自民離れで、民主党に一度やらせてみようとする機運が高まったことも要因であった。さらに民主党圧勝の要因のひとつに、マニフェスト選挙にして無党派層を呼び込んだことも挙げられる。今回の政権交代は、国民が民主党の具体的な政策に賛成したのではなく、政権交代しないと政治が変わらないとの思いで、官僚頼みの政治から国民主導の政治を熱望したと言える。

民主党の圧勝は、海外メディアでも強い関心を集めた。今回の政権交代は、明治維新と戦後復興に並ぶ出来事であると、あるいは米国のオバマ現象に匹敵するほど歴史的出来事と報じている。さらには、先進国で唯一、一党支配の政治体制を持つ国が、より正常な民主主義へと進化したと論評している。民主主義を標榜して政権交代が当たり前だった先進国から見ると、日本の民主主義はまだ進化の途上にあるという見方をしている。

日本社会には、日本人の精神文化に根ざしている「お上頼み」あるいは「お上社会」が支配している。その「お上社会」は、官僚が主導する官僚支配の仕組みそのものであった。しかし、国民の声を代弁するはずの政治家がすべて官僚に丸投げしてきた結果、積年の制度疲労から次々と不祥事が起こり、官僚組織に対する不信、ねじれ国会による停滞、劣化した政党政治などが重なった。今回、国民の怒りによる政権交代で、「官僚丸投げの政治」から「政治主導による脱官僚依存」を目指す民主党政権に対する期待が大きいが、実際に官僚をコントロールできるかどうかの不安もあり、注視していく必要がある。

民主党の経済成長戦略は、子ども手当や高速道路無料化などで家計を刺激して消費を拡大する 内需主導型経済への転換を図るものである。目玉政策である子ども手当ては、欧州の先進国ドイツ、フランス、スウェーデンなどの少子化対策による成功例をもとに導入した政策である。しかも所得制限を設けず、生活困窮者や低所得層だけでなく、富裕層を含む一般所得層まで対象を拡大し、子ども手当ての使途が、本来の教育費ではなく、生活費に使われることを想定している。

しかし、その予算額は、防衛予算を上回っており、財源の確保ができていない。所得制限や使途の制限を設ける必要があることから、子ども手当ては所得格差のある低所得層を給付対象とし、保育施設等の整備や教育関連の使途に充てるべきである。また雇用不安の解消など国民の不安を払拭させないかぎり、子ども手当てを支給しても、大半は貯蓄に回るだけで個人消費が回復しないシナリオも考えられる。

貯蓄に回すことなく個人消費を喚起させるには、雇用および社会保障のセーフティネットの役割が重要であり、同時に新たな雇用の場を創出する内需拡大政策が必要である。民主党政権は持続可能な経済社会を目指すという公約を掲げている以上、安定的かつ持続的な雇用の確保と、福祉面で十分なセーフティーネットの整備が早急に求められる。そのため、個人消費の喚起策だけでなく、国民目線による社会保障制度の強化が必要である。
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ソーシャルビジネスを振興する新しい資本主義
2009/09/08(Tue)
名作童話「モモ」で知られるドイツの作家ミハエル・エンデは、「エンデの遺言」で環境問題、貧困、戦争、精神の荒廃など、現代のさまざまな問題にお金の問題が絡んでいると、現在の金融システムの問題点を指摘していた。つまり「パン屋でパンを買う購入代金としてのお金と株式取引所で扱われる資本としてのお金は、全く異なった種類のお金である」という認識から、お金にはいくつかの異なった機能が与えられ、それが矛盾してさまざまな問題を引き起こしていると見ていた。そして「個人の価値観から世界像まで、経済活動と結びつかないものはない。問題の根源はお金にある」と提起していた。

リーマン・ショックを引き金に世界中を覆った世界金融危機は、90年代から市場への幻想を振りまいてきた新自由主義の破綻によるものであった。政権交代を求めた8月30日の総選挙の結果は、金融資本主義の崩壊後の世界的現状を反映したものであり、世界金融危機をもたらした金融資本主義の根本問題と持続可能な経済システムのあり方が問われている。今日の経済危機をもたらした直接的原因は、強欲なヘッジファンドなどが為替、原油、穀物などに投機マネーで張り合ったことにあるが、その根源はもっと根深く、90年代当時からの米国政府や経済界の腐敗構造にまで遡ると指摘されている。

冷戦後のマルクス主義経済の破綻と金融資本主義の失敗を経た今、持続可能な経済システムとして、マイクロソフト社の創始者ビル・ゲイツが2008年のダボス会議で提唱した創造的資本主義が注目されている。従来の資本主義では、経済市場の枠組みにいる人々は恩恵を受けるが、その市場の枠組みから排除されてしまった人々は、グローバル化や市場原理主義によって格差や貧困がさらに拡大してしまった。そのため、グローバル市場から排除された人々の貧困問題などをはじめとする世界的課題を解決するには、政府や企業、NPOが協働してよりよい経済社会システムの構築が必要である。

ビル・ゲイツが唱える創造的資本主義は、企業利益と社会貢献を両立させる新しい経済システムで、この概念は、企業の戦略的CSR活動やソーシャルビジネス(社会起業)に通じるものであり、社会全体の利益を最大限に考えようとする新しい資本主義である。その意味において、社会貢献を目指すソーシャルビジネスの活動が活発化し、社会起業家が活躍する「フラットな市民社会」の到来が期待される。

また、マイクロクレジットの融資モデルでグラミン銀行を運営し、2006年ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスも、ビル・ゲイツと同様、ソーシャルビジネスを振興する新資本主義を唱えている。ユヌスの新資本主義は、利益の極大化を追求する資本主義とは別に、「他人に尽くすのが幸せ」という概念に基づく新しい資本主義を志向するものである。つまり利益極大化を目指す資本主義経済と社会的課題の解決を目的とするソーシャルビジネスの新資本主義経済が、相互に依存し、融合することで持続可能な経済社会システムに転換するという考え方である。すなわち、ソーシャルビジネスを盛んにすることで、企業のCSR活動を呼び起こし、社会全体の利益を最大化する効果が期待されるためである。

さらに有名なベンチャー・キャピタリストでDEFTA PARTNERS(デフタ・パートナーズ)グループ会長の原丈人が、会社の事業を通じて公益に貢献する公益資本主義を提唱している。これもまた、上記のビル・ゲイツやムハマド・ユヌスの新しい資本主義に通じる考え方である。公益資本主義は、株主資本主義に代わるもので、株主だけが富を得るのではなく、より多くの人が幸福になる仕組みを追求する。原丈人は、株式会社の利益をNGOの収入源として福祉に活用するなど、バングラデシュやアフリカで活動を実践している。

童話作家エンデは、さらに「資本主義経済におけるお金は、より高いリターンが得られるところに移動し、その結果、利益はごく一部の人に集まり、一方で利益を奪われ続ける多数の人々が存在することになる」と指摘していた。エンデが予測したとおり、その弊害を生んできたグローバル資本主義は、過度な金融バブルの崩壊により終焉を迎え、一方でグローバル資本主義に代わる新しい資本主義の姿が見え始めている。グローバル市場から排除された人々の格差社会を克服するためには、社会全体の利益を最大限に配慮する持続可能な経済社会システムに転換していくことが重要である。

参考になる書籍を5冊

エンデの遺言―「根源からお金を問うこと」エンデの遺言―「根源からお金を問うこと」
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(2009/04/17)
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(2008/10/24)
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ミッションありきの社会貢献が、持続可能な社会を切り拓く
2009/09/13(Sun)
グローバル化に伴い、我が国が直面する雇用問題、少子高齢化、子育て支援、環境問題、地域活性化、教育問題、途上国支援などの社会的課題に対して、政府の施策や企業の CSR 活動だけでは、解決が困難であり、市民のNPO活動などセクターを越えた協働が不可欠となっている。

しかし、多くのNPO活動は、ボランティア事業というアマチュアリズムに支えられており、「寄付文化」のない日本で活動を展開していくことが困難になっているため、事業型NPOや企業との協働が増えている。その中で、ソーシャルビジネス(社会起業あるいはソーシャルベンチャー)という持続可能なビジネス手法を用いて、社会的課題を解決する新しい事業分野が注目されている。ひとつの事業体として収益を生み出し、同時に社会貢献を行うソーシャルビジネスは、行政の手の届かない社会的課題をビジネス手法で効率的に解決し、継続的な事業活動の形態をとるため、多様な雇用創出にも貢献する。

ソーシャルビジネスがより多様に、より活発に、より持続的に発展できる事業環境を整備するためにも、優れたアイデアをビジネス化に後押しする専門家などの中間支援組織が必要である。また新しいソーシャル・イノベーションにつながる社会起業家(ソーシャル・アントレプレナー、あるいはチェンジメーカー)などの人材育成も重要である。欧米でソーシャルビジネスが拡がった要因のひとつに、優秀な学生ほど、地域や社会を良くしたいという社会貢献志向が強く、ソーシャルビジネスに多く参入してきた背景がある。日本の大学・教育機関は、こうしたリーダーの人材育成が遅れている。

ソーシャルビジネスは、社会的課題解決による地域活性化を担う主体として期待されているものの、社会的認知度は非常に低い。このため、企業や行政の協働パートナーとして認識されず、資金調達が困難になっている。さらに社会性と事業性を両立させるための経営資源(人材、設備、資金、情報など)が不足しており、行政やCSR活動に取り組む企業も含めて、ソーシャルビジネスを支援する法的制度の整備が求められる。

またソーシャルビジネスは、営利企業と異なり、人とのつながりによる信頼感を資本(ソーシャルキャピタル)としており、成功するには社会的ミッションに共感が得られることが重要である。地域社会では、環境問題、介護福祉、教育、子育て支援、街づくり、観光等に至るまで、様々な社会的課題が顕在化している。そのため、地域住民とソーシャルキャピタルを醸成することによって、地域の課題解決を目指すソーシャルビジネスやコミュニティビジネスが可能となる。

さらにソーシャルビジネスは、地域社会の活性化のみならず、自己実現の満足感や生きがいを与える事業活動でもある。特に自己実現の場を目指す高齢者や団塊世代、女性、若者にとって、ソーシャルビジネスは、新たな社会活動や多様な働き方につながっていくと言える。ソーシャルビジネスは、市民の主体的な動きを示すものとして、市民性の高い社会的事業でもある。

人とのつながりを求めるソーシャルビジネスは、行政や企業、市民の様々な協働パートナーを通じて、持続可能な社会づくりの触媒的な役割を担っている。特に社会貢献ありきで行動する若者が、自ら活動主体となって持続可能な社会を切り拓いていくことを期待したい。

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幸福度を優先する政治が求められる
2009/09/19(Sat)
経済成長の尺度であるGDP(国内総生産)は、環境悪化が進んでも、不平等が高まっても、増加する。そのため、これまでのGDPでは、幸福感に与える影響を測ることができない。ごく最近、フランスのサルコジ大統領が、GDPの計算方法を見直し、新たに長期休暇や環境への貢献などの「幸福度」を加えると提案した。また、他の各国もこうした幸福度を基準に入れるべきだとして、9月下旬の米国で開催されるG20首脳会合で各国に同意を求めると報じられている。

この提案は、ノーベル賞経済学者であるコロンビア大のスティグリッツ教授とハーバード大のセン教授らが発表した報告書に基づいているという。以前、イギリス保守党のキャメロン党首も、経済成長より、幸福度をより重視すべきだと主張し、「幸せの政治」を掲げて支持率を上げた。新自由主義経済の限界が明確になった昨今、幸福度を最重視する政策の必要性が、我々の目指すべき方向を示している。

しかし、GDPは一つの指標にすぎず、GDPとは別に幸福度を測る基準が必要である。平成20年版国民生活白書によると、日本では、GDPの増加に伴い、所得が上昇傾向にあっても、反対に生活満足度は下がっているという。これは他の先進諸国でも見られる「幸福のパラドックス」といわれる現象であり、経済成長が人々の幸福感に結び付いていない。特に所得水準が高い先進国では、所得上昇にかかわらず、幸福感が高まらない。このパラドックスを解くため、「幸福の経済学」という分野が生まれており、幸福とは何か、それは何によって決まるのかという計量経済学的研究が進められている。

チューリヒ大学教授フライらが著した「幸福の政治経済学」は、直接民主主義の最も発達した国であるスイスで、所得、失業、インフレ、政治システムなどの要因が幸福に与える影響を詳細に調べたものである。これによると、金銭的な充実のみが幸福を決めるのではなく、直接民主制度による政治参加の充実度こそが人々の幸福感を高めることを明らかにしている。つまり、人々の政治的参加状況が、幸福感を高めていくという意外な結論であった。

経済的豊かさと幸福感とは乖離しているが、そのギャップを埋めるには、課題解決に向けた政策的意思決定に市民が直接参加することである。すなわち、行政の意思決定に参加する市民ガバナンスは、市民自らが幸福を享受しようとする動きと言える。このように考えれば、市民による小さな「持続可能な社会づくり」は、大きな「幸福づくり」に結びつく重要な政治参加行動であると見ることができる。

GDPを拡大することが、国民の幸せになるとするGDP至上主義は、国民の社会生活を破壊してしまった。毎年3万人を超える自殺者を出す日本は、GDP至上主義から脱却して、「幸福の経済学」に基づき、幸福度を高める政治を目指すべきである。

参考になる書籍を2冊

幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か幸福の政治経済学―人々の幸せを促進するものは何か
(2005/01)
ブルーノ S.フライアロイス・スタッツァー

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地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール
(2009/07/24)
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寄付税制の拡充が、寄付文化を促進する
2009/09/26(Sat)
欧米の多くの富裕層は、多額の寄付と慈善活動を通じて社会貢献している。しかし、日本では、寄付行為そのものに冷たく、「寄付文化」がないと言われている。これは必ずしも正しくなく、潜在的な寄付者が多いにもかかわらず、寄付行為に対する税制度の規制が強いためである。また、NGOやNPOの活動を支える財政基盤が弱いのも、寄付控除の対象として認められる非営利法人の条件が厳しすぎるからである。

寄付に厳しく課税する税制度は、いまだに社会貢献を趣味・道楽とみなしているからで、こうした偏見を打破するためにも、社会貢献ビジネスを振興させる政策が必要である。
また、国の財政赤字がさらに増える中で、民間・個人の寄付は、「政府の失敗」による歪みを補正する役割を担っている。民主党政権のマニフェストでは、寄付税制の是正政策が公約になっている。その実現に期待したい。

企業は寄付を行えば損金処理にでき、その分税金を払わなくて済むが、個人寄付には税制優遇がほとんどない。さらに所得控除の上限が大幅に制限されている(英国などは、所得控除の上限がない)。日本では富裕層の寄付が少ないため、所得控除の上限を大幅に改善することが望ましい。また、所得控除が認められているのは、国、地方公共団体、特定の公益法人などに対する公益寄付のみに限られていることも、寄付文化が根付かない要因のひとつである。

個人の寄付金を増やすためには、寄付減税が必要で、納税かまたは寄付かの選択肢を用意し、寄付した分は納税しなくても良いとする寄付金控除制度が望ましい。2008年から住民税の一部を利用したふるさと納税が導入されたが、住民税だけでなく、所得税にも拡大した寄付税制の改善が求められる。千葉県市川市では、納税者が支援したい市民活動団体に住民税の1%を振り向ける1%支援制度(市民活動団体支援制度)がある。税の一部が、福祉や街づくり、環境などの活動支援に回っている。税の使い道を住民自らが考えることによって、地域が活性化されている。こうした支援制度を全国に広めるべきである。

個人の社会貢献活動を活発化させるためにも、国が率先して寄付税制を見直し、寄付控除の範囲を拡充するなど、個人の公益寄付に対するインセンティブを与えることが重要である。さらに寄付が社会全体に及ぼす効果を周知させるなどして、政府は、国民に対して寄付文化を根付かせるように積極的に取り組むべきである。
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