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持続可能な社会を支える市民ガバナンス
2009/07/17(Fri)
国連や世界各国が中心となり、グローバルおよび地域社会のレベルで、「持続可能な社会(世代を越えて環境・経済・社会の調和の取れた社会)」の実現に向けての取り組みが進んでいる。

「持続可能な社会」の実現には、環境問題、地域問題、貧困問題などのニードが多様化、複雑化した社会的課題の解決が不可欠である。昨今では、グルーバル化に伴い顕在化した社会的問題が、米国発の世界金融危機に見られるように「政府の失敗」や「市場の失敗」でより深刻化した。

しかし、財政赤字が拡大する中、これら全ての社会的課題を行政や企業では対応することがますます困難になっている。社会サービスの継続が困難となった雇用問題、あるいは少子高齢化やグルーバル化、価値観の多様化などで対応が困難となった社会的課題を克服するには、社会の主要な担い手である政府・企業・市民の各セクターが、互いの特性を活かした協働パートナーとして、社会全体で社会的リスクを吸収することが望ましいとされている。

そのため、社会を構成する多様なステークホルダー(利害共有者)が、社会に対する責任を強く認識し、市民参加型の「新しい市民社会」を構築することが求められている。そこで弱体化した市民セクターを強化するため、市民が、行政を介在させずに、新たな「公」の担い手として主体的に行動することが期待されている。市民一人ひとりが、「一人がみんなのために、みんなは一人のために」という価値観を共有し、地域の問題や環境問題の対応、自己実現など社会的課題を主体的に解決する「市民力」を培うことが重要になっている。

さらに「地方分権」の実現が強く求められている昨今、地域社会の主権者である市民が、「協働社会」の担い手として社会政策立案や事業計画などに参画できる社会的仕組みが必要になっている。すなわち行政とのパートナーシップに基づいて市民参加を前提とする「市民ガバナンス」の形成が、市民感覚を反映させた「協働社会」づくりの基本条件になっている。換言すれば、市民がどのような社会を望み、その実現に行政や企業などと多様なステークホルダーによる協働を強めることで社会的課題の解決を推し進めていくやり方である。

自治体の自立意識や地域意識、市民意識などの多様化を背景に、市民の意向を市政に反映させる市民参加条例が、多くの自治体で制定されている。また司法において、市民と裁判官との協働による市民参加の裁判員制度がスタートしている。さらに社会のあらゆる分野で市民参加型の「市民ガバナンス」をより積極的に推し進めていくには、行政や企業、市民、教育界など社会全体で、「市民知」を活かして主体的に行動できる人材を育成する「市民性教育」が不可欠である。そうした社会全体の理解と人材の厚みが、市民性に立脚した「持続可能な社会」づくりにつながると期待される。

「持続可能な社会」の実現を目指した「市民性教育」として、ESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)が啓発活動を行っている。しかしESD自体が、まだ社会全体にほとんど認知されていないため、ESDの社会的認知度を向上させる周知・普及活動に積極的に取り組むことが、今後の課題である。特にESDの提案国となった日本は率先して「ESDの10年」に取り組む責任がある。

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安心社会を支えるソーシャルガバナンス
2009/08/08(Sat)
最近、安全・安心に対する関心が高まっている。日本は今や安全・安心な国ではないからである。その理由として、青少年非行、児童虐待、不可解な犯罪、ホームレスの増加、家庭内暴力、自殺など社会問題が多発していることにある。それ以上に国民が不安を感じているものとして、雇用や年金など経済的な見通しが立たなくなったことで、経済の停滞、医療の崩壊、財政赤字、年金制度の破綻、教育問題などの社会リスクに関心が集まっている。

グローバル資本主義や世界金融危機に伴い、「市場の失敗」や「政府の失敗」、「家族の失敗」などが重なり、失業、収入低下、雇用不安など想定外の生活リスクに遭遇する可能性が高まっている。しかし、行政のセーフティネット削減により増加する社会リスクに自己責任で対応することが求められ、対処できる人とそうでない人との格差が広がっている。今やリスク構造が大きく変化し、社会保障制度が機能不全状態で、すべてが不安定化するリスク社会になっている。

日本経済の活力を奪っていた政・官・財の「鉄のトライアングル」という既得権構造を打破しようと、小泉構造改革によって新自由主義や市場原理主義が導入されたが、その結果、社会の不安定化により中流階級が崩壊し、貧困率が高まる格差社会に変貌してしまった。しかし、失業や貧困などは個人の努力で解決できる範疇のものではなく、社会全体で個人を社会リスクから守る発想が必要であり、リスクの社会化を進める仕組みが求められている。ヒトが社会とのつながりで生きていくためには、仕事をもつことが必要であり、社会的排除を解決する「社会的包摂(social inclusion)」の政策実現が不可欠となっている。特にヒトへの投資を重視した能力発揮や自己実現の支援が重要である。

また社会を不安定化する要因のひとつとして、「お任せ主義」あるいは「パターナリズム(父権主義)」の弊害がある。これまで日本の社会は、「パターナリズム」の仕組みの中で、社会秩序が保たれてきたが、一方で権威への服従が求められるため、個人の自立や地方自治体の発展が歪められた。しかし、医療・年金・教育などの社会問題に代表されるように、制度疲労が起きており、国がすべてを決める制度は限界に来ている。また食品偽装問題で、消費者と生産者との情報の非対称性が「政府の失敗」や「市場の失敗」を引き起こしたように、政治・行政への信頼が低下し、「パターナリズム」の崩壊が見られる。

経済社会が大きく変化し、複雑化しているのに対し、政府・行政は官僚主導の中央集権型システムのままで、その硬直性ゆえに当事者能力を失いつつあり、機能不全の状態にある。全ての権限を一極集中で握る官僚制主導に委ねるお任せ体制では、社会的課題への対応が困難となり社会全体の活力が奪われてしまう。

社会全体を覆っている「パターナリズム」からの脱却は、市民の価値観の多様化によっても見られる。市民自らが社会参加・社会貢献するという意識転換が求められているからである。国に依存しない安心社会の実現には、社会全体でリスク管理する取り組みが必要である。そのためには、多様化する社会リスクに対する社会的ガバナンスを推し進めて、行政、地域、企業、市民などの多様な主体がそれぞれの責任と役割分担で協働ネットワークを機能させることが重要である。調和の取れた包摂的な社会に向けて、市民一人ひとりが信頼できる社会保障制度を将来世代に引き継ぐために、新たな「公」として社会参加と社会貢献が求められている。

参考になる書籍1冊

希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫)希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫)
(2007/03)
山田 昌弘

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