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世代間格差を解消する若者の政治参加
2009/08/24(Mon)
「持続可能な社会」づくりの先進国であるスウェーデンは、政治主導によるバックキャスト手法(明確な長期ビジョンによる目標を掲げて計画的な政策に基づき社会を変えていく手法)で福祉国家を実現している。それに比べて、日本の政治・経済・社会は、混迷と停滞に陥っており、先行き不透明な閉塞感に国民の不安が高まっている。これは現場の実態を理解しようとしない机上の空論に基づいた官僚主導の政治に起因しており、政治の主体性が奪われているからである。官僚任せの政治ではなく、政治主導によるバックキャスト手法で持続可能性のある政策に転換させる必要がある。

しかし、政治主導の実現には政治家に高い能力と見識が求められることから、政治家の質が問われている。そのひとつに、世襲議員の問題がある。有権者が世襲議員に対して批判的であっても、世襲議員は政党の公認候補として優遇され、小選挙区制のため、選出されてしまう可能性が高い。有権者はよりよき人材を選ぶ選択肢が極めて限られている。これは選挙制度に関わってくる問題でもある。

政治の質が向上しないもうひとつの要因は、有権者である若者が政治参加せず、投票率が低いことにある。若者を取り巻く社会環境は厳しく、就職難や年金など世代間格差による負担増で不満、不安が非常に高いにもかかわらず、選挙には行かない。政治家は、自分に投票しない人には全く見向きしないため、票に結びつく高齢者には手厚い政策を行うが、票に結びつかない若者には政策が無視されてしまう。また少子高齢化で高齢者世代の発言力が高まり、若者世代の負担がさらに増える。若年層が投票しないかぎり、いつまで経っても就業問題、非正規雇用の問題、子育て、街づくりなどで若者の関心が高いとされる政策が政治に反映されない。現状のままだと、若い世代は、社会的に分断・排除され、政治的弱者として取り残されてしまう。中高年世代になってからでは、手遅れである。

最近の若者は、現実にリアリティを感じない対象には関心がないとされる。投票しない若者は政治にリアリティを感じていないからである。若者の言うリアリティとは, 自分らしさのことであり, また自分探しであったり、アイデンティティでもある。高度成長期を肌で知っている中高年世代と違い、低成長期の若者は、人とのつながりが希薄で将来の見えない閉塞感の中で、ネット社会のバーチャルにリアリティを求めている。その一方で、バーチャルにも満足せず、リアリティに飢える若者の中に、現実にリアリティを得ようと、あるいは自己実現を見つけ出そうと、社会貢献を目指す若者が増えている。

政治の良し悪しが、国民の生活を大きく左右するため、政治は、社会を変える原動力であり、また自分達が置かれている環境を変えてくれる手段であると前向きに見る必要がある。若者が政治参加することも、選挙に行くことも社会貢献である。社会貢献を目指す若者が選挙に行かないと、社会を変える最大の機会が失われてしまう。社会貢献にリアリティを感じる若者こそが、政治を変え、社会を変えていく原動力になる。

将来に目を転じれば、国民投票法の成立によって2010年に18歳選挙権の実現がうたわれており、若者の政治参加の機会が拡大される。同時に若い政治家を輩出させ、育てるためにも被選挙権を18歳に引き下げることが必要である。また欧米では、インターネット選挙運動が解禁されているが、日本では、原則として禁止されている。10年前から国民世論の強い要望であったネット選挙運動が解禁されれば、ネットの特性である双方向性を活かして有権者との対話が実現できるため、ネット漬けの若者が政治参加する可能性が高いとされている。ネット選挙運動の活用は、若者の投票率を上げるのに有効な手段と言える。その意味において、若者の政治参加を促す環境整備が、大きく改善される方向にある。「持続可能な社会」システムへの転換には、環境教育だけではなく、若者の政治参加を目指した政治リテラシーの構築が不可欠なのである。


参考になる書籍を3冊。


スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」 (朝日選書792)スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」 (朝日選書792)
(2006/02/07)
小澤 徳太郎

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若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書)若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? (ディスカヴァー携書)
(2009/07/07)
森川 友義

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若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)若者のための政治マニュアル (講談社現代新書)
(2008/11/19)
山口 二郎

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意志のあるお金が実現する持続可能な社会
2009/10/16(Fri)
リーマンショックで広がった世界金融危機は、ヘッジファンドなどの投資家が短期売買を繰り返す強欲な金融資本主義によって引き起こされた。すべての投資家が環境や「社会的な利益」に配慮した投資を行っていれば、未曾有の金融危機は起きなかったかもしれない。

投資先を選ぶ際に、売上高や収益、株価が評価基準となっているが、これからは「環境・社会・ガバナンス(企業統治)」に配慮することが求められている。つまり、低炭素社会に向けてCO2ガス排出量削減による環境への取り組みや社会的活動を評価指標にすることである。そのため、排出量あたりの利益や生産性など排出情報を開示した企業を支援する時代が到来すると言われている。

「社会的責任投資(SRI)」は、環境問題や地域社会への社会貢献など、企業の社会的責任に注目して投資する。サブプライム金融危機以後の欧州では、こうしたSRIファンドに個人投資家からの資金流入が増加している。また社会の持続性を考えて社会貢献活動を行う企業への投資が収益につながるため、SRIは社会をより良い方向に発展させると考える機関投資家が多く、特に年金基金は、SRI市場の中核的な存在になっている。つまり、「意志のあるお金」が、持続可能な社会を築くという考え方が高まっている。

しかし、日本におけるSRI市場は、欧州に比べて規模が小さく、そうした意識も低い。過剰な貯蓄になっている約1500兆円の個人金融資産があるにもかかわらず、「意志のあるお金」を「社会的金融(ソーシャルファイナンス)」として社会公益の実現に活かそうとする動きが弱いままである。

個人の社会的責任を果たしたい、あるいは社会参加・社会貢献をしたいという意識に基づく「意志のあるお金」が、豊かな社会貢献活動を支えることから、SRIの潜在的需要を掘り起こすインセンティブを検討することは極めて重要である。最近では、損得勘定でなく、特定の社会事業や取り組みに共感する個人が、事業主に直接出資する社会貢献ファンドも増えている。自分の出資金の使途が目に見えることに共感しているからである。

NPO活動による社会事業は、ハイリスク・ローリターンであるため、金融機関は融資しないが、代わりにNPOバンク、市民バンクなどが支えている。欧州では、金融で環境や社会的問題を解決する銀行が、融資先の情報公開を徹底したことにより、「社会的リターン」や「社会的配当」を求める預金口座が増加した。日本も同様に、幅広く「意志のあるお金」を集めて、「社会的なお金」の流れにする金融機関が増えることを期待したい。
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仕事しながら社会貢献する「プロボノ」が広まっている
2009/11/20(Fri)
NPO先進国であるアメリカの事例や実情を見ると、日本にも是非、広めたい社会貢献活動や法制度が多くある。日米間のNPO事情に関するいくつかの事例を以下にまとめてみた。

《プロボノ》
アメリカの専門家や企業社員は、仕事を通じて培った専門的な知識やスキル、経験などを活かしてNPOの社会貢献活動を支援している。ボランティアと違うところは、専門的な知識やスキルを無報酬で提供する点にある。こうした社会貢献は、「プロボノ」と呼ばれ、ラテン語でPro Bono Publico(公共の利益のために)を略したものである。元々は弁護士などが無報酬で行う公益活動あったが、今では会計士、コンサルタント、IT専門家、多岐に亘る専門分野で活躍する企業の社員などが、NPOの法律や会計、IT業務、Webデザイン、ビジネスモデル、マーケティング活動、広報制作、人事組織などの相談などを無償で行っている。

企業もまた、積極的に「プロボノ」を提供するかたちで、社会貢献活動を行い、NPOとのコラボレーションを強めている。また「プロボノ」として参加する企業の社員、NPO、企業が、互いに連携しながら、Win-Win関係を追求している。さらに「プロボノ」に特化した中間支援組織のNPOが、スキルを求めているNPOを支援している。そしてまたNPOを支援したい専門家や団体をデータベース化した無料サイト(NonProfit National Resource Directory)があり、こうした人的リソースを探しているNPOはワンストップサービスとして利用できる。

日本でも、自分の専門的知識やスキルを生かしてNPOを支援する「プロボノ」が浸透してきている。NPOにおいても「プロボノ」を積極的に活用してところが増えている。サービスグラントのように、スキル登録でNPOを支援する中間支援組織のNPOがある。最近では、社会人の間で「プロボノ」が急速に広がり始めている。

《ソーシャル・イノベーションと人材育成プログラム》
オバマ政権は、ホワイトハウス内にソーシャル・イノベーション室を設立し、ソーシャル・イノベーションに力を入れるため、Social Innovation Fund(社会改革基金)を打ち出した。ますますアメリカの非営利セクターの役割が重要視されている。しかし、ソーシャル・イノベーションは様々な社会的課題をビジネス手法により解決していくため、新しい事業分野のノウハウ、スキル、専門的知識の獲得等を引っ張っていくマネージャーが必要で、特にコミュニケーション力とリーダーシップのあるマネージャーを育成していくことが重要である。

そのため、アメリカのNPOセクターは、マネジメント教育やNPOの人材育成に熱心で、支援する教育プログラムが充実している。こうしたトレーニングプログラムを受けると、NPOと協働する事業の企画・立案できる能力が養成される。全米で最もサステイナブルな都市であるサンフランシスコのベイエリア地域やシアトルは、ソーシャル・イノベーションを展開する組織が多いことで知られている。シアトルの人材育成NPOのiLEAP では、講座やインターシッププログラムを通じて、様々な社会問題への取り組みについて理解が深められるようになっている。またソーシャル・イノベーションに取り組む企業やNPOを訪問し、企業がどのようにして社会的活動しているかについて学ぶことができる。

日本では、政府が雇用創出を目指す対策として介護、保育、環境保全などに貢献する社会起業家を育てる「地域雇用創造マネジャー」制度を来年2月に創設するとした。この制度は、NPO法人の研修事業を支援し、研修を終えた人材を全国に派遣し、創業を促すとしている。日本でもようやく、政府支援による社会起業家の人材育成事業が動き始めている。

《非営利金融システム》
アメリカでは、非営利セクターが発達しているため、非営利金融が多い。また政府支援や法整備が進んでおり、営利金融を規制する法律と、非営利金融を規制する法律が別々にある。さらに社会起業家を資金的に支援する中間支援組織NFF(Nonprofit Finance Fund)が、NPO向けに特化した専門的な金融サービスを提供している。

日本では、貸金業の規制強化を目的とした改正貸金業法の完全施行に伴い、NPOや個人などに融資するNPOバンクが、消費者金融と一緒に規制されるため、崩壊の危機に瀕している。日本には非営利金融が存在しない。またNPO 法では、出資が認められていないためにNPO バンクが貸金業者扱いになっている。 政府与党は、NPOバンクについて、適用除外を選択肢の一つとして、近く検討を始める方針と伝えられるが、アメリカと同様、出資型の非営利金融NPOを可能にする非営利金融システムを新しい制度として構築することが重要である。


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シアトルのiLEAP短期トレーニングプログラムに参加された方から、ご案内を頂きました。
ソーシャル・イノベーションに関心のある人にはおすすめです。

(以下、告知文です)

米国NPO法人iLEAP (アイリープ)は、2010年春に『自分が変われば、世界も変わる』をテーマに、NPO運営・社会起業家に興味のある学生・社会人へ向けて、シアトル現地提携団体でのインターンシップを含む短期トレーニングプログラム【ソーシャル・イノベーション in Seattle】を開催します。

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■ プログラム説明会
『自分が変われば、世界も変わる/ソーシャル・イノベーション in Seattle』

説明会内容:団体説明・プレゼンテーション・過去参加者の声
日時:2009年11月28日(土)13:30〜
場所:地球環境パートナーシップオフィス(EPO)会議室
東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F
※ 青山ブックセンターとなり
※地図ダウンロードhttp://www.geic.or.jp/geic/intro/epo_map.pdf
参加費:無料
参加方法:申し込みフォームにてhttp://kokucheese.com/event/entry/723/
当日連絡先:
米国NPO法人iLEAP (アイリープ)
日本受付窓口・岩澤【080-3531-5893】

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■プログラム募集要項

プログラム内容:
短期トレーニングプログラム【ソーシャル・イノベーション in Seattle】は、シアトルにて社会事業を行うNPO・社会起業家団体でのインターンシップと、アメリカ人大学教授による講座を組み合わせた、社会変革について総合的な学習の出来るユニークな海外短期滞在プログラムです。すべてのプログラムは英語で行われ、インターンでの実践的体験と学問的なワークショップ・ディスカッションを通して、バランスのとれた学習体験が出来るよう構成されています。

期間:2010年2月22日(月)〜 3月19日(金)【26日間】
開催地:アメリカ合衆国ワシントン州シアトル市
定員: 18名(最少遂行10名)
対象者:社会起業家に興味のある大学生・大学院生・社会人
申し込み期限:12月7日までに参加申込願書をオンライン上で提出

申込金:$300
参加費:$2,850
※費用に含まれるもの:授業料、テキスト代、現地送迎、プログラムコーディネーション費、シアトルバス乗車券、見学移動費
※費用に含まれないもの:
 ●往復航空券:提携旅行会社にて手配可能
 ●滞在費:アイリープにてホームステイなどの手配可能
 ●その他:海外旅行保険、ESTA収得手数料、パスポート申請費、個人的諸費用(スナック・電話代など)

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What is iLEAP?
米国NPO法人iLEAP (アイリープ)は、ワシントン州政府と米国連邦政府に認可された非営利団体(501c3)です。ポジティブな世界の社会変革の為につとめる新世代の国際市民を育てる人材育成センターで、実践的スキルと客観的把握力を養う機会を与えることで、平和な世界的コミュニティーの形成を目指しています。

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米国NPO法人iLEAP (アイリープ)
日本受付窓口・岩澤【hiroki[at]ileap.org】
日本語ウェブサイト http://www.siis.ileap.org

greenz.jpでシアトル通信掲載中!
http://greenz.jp/2009/09/27/seattle_report_01/


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社会貢献を志向する企業が成長する
2009/11/27(Fri)
市場経済の暴走で深刻化した世界同時不況に見られるように、企業の使命が利益追求だけではないことが明らかになった。株主重視の短期的利益を追求する企業よりも、社会貢献への取り組みを重視する企業の方が、リスク管理能力が高いため、中長期的に成長する。特に、あるべき理想の企業の姿を目標としたバックキャスティングで、計画的に事業を具体化していく企業が、持続的に成長すると言われている。

資本主義の暴走に歯止めをかけるため、企業に社会的責任を求める動きが盛んになっている。企業の価値が持続可能であるためには、業績や株価でなく、環境、貧困問題、労働問題などへの対応も含め、企業の品質を考える必要がある。これからの企業は、本業の根幹において社会ニーズを事業戦略に反映させ、多様なステークホルダー(利害関係者)と連携したWin-Win関係を追求した経営戦略が求められている。

企業の内部論理や立場のみを重視した従来のやり方では、成功しない。単なるCSR活動では、企業の広告活動の一環として留まっている面が否めない。NGOやNPO は、企業が進出しにくい非営利分野をカバーしてくれるため、CSR活動にとって欠くことのできない戦略的パートナーである。社会貢献活動を外部委託するのではなく、企業自らが、経営資源を有効活用し、本業の特性を生かしたCSR経営を推し進めるべきである。

例えば、企業組織を利用した社員参加型で社会問題を解決するソーシャルイノベーションは、社員のインセンティブを向上させ、企業イメージを高める。企業が社員のプロノボ活動を積極的にサポートすることで、NPO/NGOとのコラボレーションが強化される。

また、NPO/NGOとの協働で開発した寄付型商品の販売活動を通して、消費者に社会貢献をアピールするコーズ・リレイティッド・マーケティング(CRM)は、ビジネスチャンスを拡大する手法として注目されている。消費者は社会貢献に敏感である。寄付金がCRM実施企業を通してNPO/NGOへ寄付されるため、Win-Win関係による持続可能性が生まれてくる。これからは、多くの企業がCRMに取り組むと見られている。

さらには「オープン・イノベーション」で、研究開発の成果や情報を広く社会に情報公開することが重要である。ミッションを共有できるNPO/NGOやソーシャルイノベーションとのパートナー連携を強化することが、事業効率を高めるため、共存共栄につながる。

企業が、社会の持続性を考えて社会貢献活動を積極的に行えば、個人のSRI(社会的責任投資)投資により、収益がさらに向上する。社会貢献活動で収益が上がると分かれば、企業の活動はより活発となり、社会の変革が早くなる。こうした企業の社会貢献活動が、市民性の高いソーシャルイノベーションを後押しする。成長を望む企業は、社会貢献活動を通じて、ソーシャルイノベーションを振興する市民社会との共生を積極的に図っていくことが重要である。

日本では古くから、「事業採算と社会貢献は両立すべし」との語録を残した日本資本主義の父、渋沢栄一や「企業は社会の公器という経営理念のもとに事業を通じて社会貢献を実践する」ことを唱えた経営の神様、松下幸之助などの先人達には社会起業家に通じる経営理念があった。現代においても、企業がCSR活動を通じて社会貢献を行い、企業の社会性を高めることが本来の姿であることに変わりがない。最近、「会社は社会の公器である」という「公益資本主義」の理念が提唱され、改めて注目されている。


参考になる書籍を1冊

新しい資本主義 (PHP新書)新しい資本主義 (PHP新書)
(2009/04/16)
原 丈人

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プロボノ:働く人たちの社会貢献
2010/07/11(Sun)
今、若者たちの間で「プロボノ」と呼ばれる新しい社会貢献が広がっている。

閉塞感が漂う厳しい競争社会の中、自分も社会も、もっと幸せに感じる新たな働き方を模索する動きである。金融や広告、研究職などボランティアとは無縁と思われてきた層を中心に、専門知識やスキルを活かして無償で社会貢献している。

「プロボノ」は、ラテン語Pro Bono Publico(公共善のために)に由来し、もともとは、弁護士や公認会計士などが月に数時間の無償報酬で相談に応じることで始まったものであるが、今や、銀行員、システムエンジニア、デザイナーなど専門の知識、技術を有する、様々な職種で働く人々にも広がっている。

「プロボノ」は世界中で広がっている。アメリカでは、国をあげて「プロボノ」活動を推し進めており、その経済効果は、3年で10億ドルに達するという。欧米では、企業のプロボノ支援は、社会的責任の一環として見られている。そのプロボノ活動が日本の若者を中心に広がり始めている。「プロボノ」関連のイベントセミナーは、いつも大盛況である。

「プロボノ」が広がる背景には、景気後退で仕事に対するやりがいが見えにくくなっている現状がある。自分の仕事が社会に対してどう役に立っているか、見えなくなっているため、「プロボノ」は今、若い世代を惹きつけている。

一方、「プロボノ」の支援を受ける非営利組織NPOは、資金不足や人材難に悩んでいる。こうしたNPOが抱える悩みや経営問題に、自分たちが仕事を通じて身に付けた経理、情報技術、広報、営業、市場調査、デザインなどの専門的知識や技術を活かして無償で支援していこうとする人々が、若い社会人を中心に広がっている。

「プロボノ」という仕組みは、企業で活躍するプロボノワーカーと支援を希望するNPOとをマッチングする中間支援組織が提供するサービスで生み出している。プロボノをする人々は、社会貢献に興味があったり、感謝される仕事がしたかったり、人脈や経験を拡げたかったり、動機は様々である。これからは「プロボノ」という新しい働き方が、社会に大きく広がっていくと期待されている。

社員のプロボノは、企業にも利点がある。こうした社員の社会貢献を積極的に後押しすることがマイナスではなく、プラスと考えており、社員の「仕事」に対するモチベーションをあげるため、人材育成の近道として「プロボノ」を支援する企業も増えている。企業に勤めながら、自分とって社会のより良い在り方に向けて、自ら「プロボノ」活動することが可能になっている。

かつては、働きがい、働く喜びという言葉が当たり前に使われていたが、バブル崩壊後の20年間は、成果を問われる厳しい競争社会の中で、生き残り、勝ち残り、サバイバルだと、殺伐とした職場で働く雰囲気になったことが背景にあるという。「プロボノ」は、こうした職場文化の在り方に対する若い人々の無言の抗議行動だと言われている。

企業文化を変革するには、「考え方・価値観」や「行動パターン」をどのように変えるかという問題に行き当たる。上からのトップダウンでは変えられず、ボトムアップによる変革が重要であり、若い人々が、「プロボノ」活動を通じて企業文化を変え、さらには社会文化も変えようとしている。

他方で、企業とNPOの関係が大きく変わってくる。これまでの企業は、CSR活動の一環として、寄付を行うだけの一方通行のNPO支援であった。最近は、企業が持っている人材や知識、ネットワークなどをNPOへ積極的に提供している。

「プロボノ」を行っている社員が、活性化され、企業の文化にいい影響が出ている。これからは、企業とNPOが対等に手を結んで、互いに影響を与えあって社会変革に取り組んで行く時代が始まる。

社会貢献という新たな「やりがい」を求める「プロボノ」は、働く人と社会と会社の好循環を促し、厳しい競合社会から共存共栄の社会へと「持続可能な社会」の実現をもたらす新しい働き方であると言える。
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